「出張でアメリカに行くけどこの睡眠薬は持っていける?」
「旅行でヨーロッパに行くけどこの抗うつ薬は持ち込みできる?」

薬局でも旅行での薬の持ち込みについて相談を受けるケースが多くあります。

せっかくの旅行や、大事な仕事の入国時に治療に必要な薬を没収されたり、持ち込みによって処罰を受けるとなるのは絶対に避けたいですよね。

向精神薬の海外への持ち込みについて、解説していきます。

注射薬・内服薬の向精神薬の海外持ち込みについて

海外旅行先で自分が服用するために持っていく場合のみ下記の条件で可能です。

  • 経口剤・座薬など注射薬以外の向精神薬で一定量(下記一覧参照)を超えない場合
    →手続きの必要なし
  • 経口剤・座薬など注射薬以外の向精神薬で一定量(下記一覧参照)を超える場合
  • 注射薬の場合
    →処方箋の写し(コピー)または医師の証明書が必要

医師の証明書とは?
患者の氏名、住所、病名、海外に持ち込む向精神薬の成分名、数量を記載したもの

トラブルを避けるためにも向精神薬を持っていく際は英文で書かれた医師の証明書を持っていくのが一番良いでしょう。

また医師の証明書をもらうには時間がかかることもありますので、余裕を持って発行してもらうことをオススメします。

海外に持ち込み可能な向精神薬一覧(第1種・2種・3種)

向精神薬と出入国の際に持ち込める上限量をリストにしています。(2017年時点)

上限量は薬の重さでなく「成分の量」です。

たとえば、マイスリー10mgには有効成分のゾルピデムが10mg含まれています。
ゾルピデムの上限は300mgですので、マイスリー10mgの場合は30錠までが持ち込み可能となります。

商品名は先発医薬品の名前を書いていますが、ジェネリック医薬品も対象となりますのでご注意ください。

第1種向精神薬と海外持ち込み上限

成分名
英語表記
商品名上限
メチルフェニデート
Methylphenidate
リタリン
コンサータ
2.16g
モダフィニル
Modafinil
モディオダール6g

 

第2種向精神薬と海外持ち込み上限

成分名
英語表記
商品名上限
アモバルビタール
Amobarbital
イソミタール9g
ブプレノルフィン
Buprenorphine
ノルスパン
レペタン
80mg
フルニトラゼパム
Flunitrazepam
サイレース
ロヒプノール 
60mg 
ペンタゾシン
Pentazocine
ソセゴン
ペルタゾン
ペンタジン 
18g 
ペントバルビタール
Pentobarbital
ラボナ4.5g 

第3種向精神薬と海外持ち込み上限

成分名
英語表記
商品名上限
アルプラゾラム
Alprazolam
コンスタン
ソラナックス
72mg 
エスタゾラム
Estazolam
ユーロジン120mg 
エチゾラム
Etizolam
デパス90mg 
オキサゾラム
Oxazolam
セレナール1.8g 
クアゼパム
Quazepam
ドラール900mg 
クロキサゾラム
Cloxazolam
セパゾン360mg
クロチアゼパム
Clotiazepam
リーゼ900mg
クロナゼパム
Clonazepam
ランドセン
リボトリール
180mg
クロバザム
Clobazam
マイスタン2.4g 
クロラゼプ酸
Clorazepate
メンドン900mg 
クロルジアゼポキシド
Chlordiazepoxide
コントール
バランス
1.8g 
ジアゼパム
Diazepam
セルシン
ホリゾン
ダイアップ 
1.2g 
ゾピクロン
Zopiclone
アモバン 300mg 
ゾルピデム
Zolpidem
マイスリー300mg
トリアゾラム
Triazolam
ハルシオン15mg 
ニトラゼパム
Nitrazepam
ネルボン
ベンザリン
450mg 
ハロキサゾラム
Haloxazolam
ソメリン300mg 
フェノバルビタール
Phenobarbital
フェノバール
ワコビタール
ヒダントール
複合アレビアチン
トランコロンP
6g
フルジアゼパム
Fludiazepam
エリスパン22.5mg
フルラゼパム
Flurazepam
ダルメート900mg
ブロチゾラム
Brotizolam
レンドルミン15mg
ブロマゼパム
Bromazepam
セニラン
レキソタン
450mg
ペモリン
Pemoline
ベタナミン6g
マジンドール
Mazindol
サノレックス90mg
メダゼパム
Medazepam
レスミット900mg
ロフラゼプ酸エチル
Ethylloflazepate
メイラックス60mg
ロラゼパム
Lorazepam
ワイパックス90mg 
ロルメタゼパム
Lormetazepam
エバミール
ロラメット
60mg 

睡眠薬のロヒプノールやサイレースといった「フルニトラゼパム」はアメリカでは持ち込みが禁止となっています。

渡航先によっては没収や処罰を受ける可能性もあるため事前に在日大使館に問い合わせておくことをオススメします。

駐日外国公館リスト(外務省ホームページ) 

郵送や知人経由での輸出・輸入はできない

向精神薬の持ち込みはあくまで、自分の治療目的のみとなりますので、家族や友人経由での持ち込みはできません。

また本人が携帯することが条件ですので郵送も不可となっています。