抗アレルギー薬であるリザベン(一般名:トラニラスト)はケミカルメディエーター遊離抑制剤といわれ、抗ヒスタミン薬のような対症療法とは異なります。

アレルギー性鼻炎や気管支喘息だけでなく、ケロイド・肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)の治療薬として皮膚科でも処方されるケースがあります。

リザベン(トラニラスト)について作用機序や特徴をまとめました。

リザベンの規格・有効成分

リザベンには下記の3つの規格が存在します。

規格有効成分
リザベンカプセル100トラニラスト100mg
リザベン細粒10%トラニラスト100mg
リザベンドライシロップ5%トラニラスト50mg 

 

ジェネリック医薬品

リザベンには薬価の安いジェネリック医薬品が存在します。

規格ジェネリック医薬品
リザベンカプセル100トラニラストカプセル100mg「CH」
トラニラストカプセル100mg「タイヨー」
フスチゲンカプセル100mg
ブレクルスカプセル100mg
リザベン細粒10%ブレクルス細粒10%
リザベンドライシロップ5%トラニラストDS5%「CH」

 

効能・効果

リザベン(トラニラスト)の効能・効果は下記のとおりです。

気管支喘息,アレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎, ケロイド・肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)

作用機序(気管支喘息・アレルギー性鼻炎)

作用機序について説明する前にアレルギーが起こるメカニズムについて説明します。

花粉やほこりなどのアレルゲンが体内に入ると、体は外敵とみなし攻撃をスタートします。

この攻撃が過剰になるとアレルギー症状がでてしまいます。

花粉症やじんましんは即時型(Ⅰ型)アレルギーと言われ、体の中にアレルゲンが入ると血液中のIgE抗体と結合します。

すると外敵を攻撃するために肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質(ケミカルメディエーター)が放出されます。

脳や血管にヒスタミンH1受容体というものがあるのですが、ヒスタミンがヒスタミンH1受容体と結合することで、鼻水や眼の充血、肌の痒みなどが生じます。

またロイコトリエンがロイコトリエン受容体に結合すると気道が過敏になり気管支が収縮し気管支喘息の原因となります。

リザベンは、ケミカルメディエーター遊離抑制薬とよばれ、ヒスタミンやロイコトリエンの遊離を抑えることで鼻水や皮膚の痒み、気管支喘息に効果を示します。

ケロイド・肥厚性瘢痕に効く作用機序・メカニズム

ケロイド・肥厚性瘢痕しこうせいはんこん)に唯一適応がある経口薬がリザベンです。

肥厚性瘢痕しこうせいはんこん)とは、傷口が修復される過程で線維芽細胞のコラーゲンが異常に増殖することで皮膚がボコボコ盛り上がり厚みがでる症状のことをいいます。

そして従来の傷跡よりも広がるとケロイドといわれます。

リザベン(トラニラスト)はコラーゲンを増殖させるTGF- β1というサイトカインの生成を抑えることで皮膚の盛り上がりや厚みを抑え、それに伴う痒みや痛み赤みを改善します。

またコラーゲンを壊し皮膚を硬くする活性酸素の遊離や産生を抑える作用もあります。

効果発現時間・持続時間(Tmax・T1/2)

薬を服用して血中濃度が最大に達するまでの時間をTmax(ティーマックス)というのですが、リザベン(トラニラスト)を1回服用した時のTmaxは2時間となっています。

また血中濃度が最大に達した後、半分の濃度に分解されていく時間をT1/2(ティーハーフ)または半減期というのですが、リザベン(トラニラスト)のT1/2は約5時間となっています。

服用後2時間で血中濃度が最大になり、その後5時間ずつ血中濃度が半分ずつ分解されていきます。

持続時間は長くないため、通常は1日3回で服用します。

参照 リザベン インタビューフォーム

膀胱炎様症状に注意(頻尿・排尿痛・血尿)

頻度は不明ですがリザベン(トラニラスト)を服用すると好酸球が増加することによる膀胱炎のような症状が現れることがあります。

頻尿,排尿痛,血尿,残尿感等の膀胱炎様症状がありましたらすぐに主治医に相談するようにしましょう。

妊娠・授乳中の服用

リザベン(トラニラスト)の妊婦さんへの投与について投与してはいけない「禁忌(きんき)」となっています。

妊婦(特に約3ヵ月以内)又は妊娠している可能性のある婦人には投与しないこと。
[マウスに大量投与した実験で,骨格異常例の増加が認められている。]

引用元 リザベン添付文書

授乳中について製薬メーカーの添付文書では「授乳を避けること」となっています。

授乳中の婦人に投与する場合には授乳を避けさせること。
[動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。]

引用元 リザベン添付文書