痰の切れにくい咳や気管支炎に処方される漢方薬がツムラ麦門冬湯、読み方はバグモンドウトウです。

ツムラ麦門冬湯について有効成分、飲み方、妊娠・授乳中の服用についてまとめてみました。

効能・効果

麦門冬湯の効能・効果は下記のとおりです。

痰の切れにくい咳、気管支炎、気管支ぜんそく

また麦門冬湯が効果を発揮するタイプの特徴です。

・体力は中等度からそれ以下
・粘りのある痰がでる場合
・のどの乾燥や違和感がある場合
・発作的に咳が頻発し顔面が紅潮する場合

小青竜湯との違い

「小青竜湯と麦門冬湯の違いは何ですか?」

時々薬局でも聞かれるのですが、小青竜湯は主に鼻水に使用し、麦門冬湯は咳に使用します。

水のような鼻水や痰がでる場合は小青竜湯、粘り気のある痰が絡み、咳がでる場合は麦門冬湯が適しています。

有効成分

1日量の9g中に下記の配合生薬の乾燥エキスが6.0g入っています。

有効成分組成
バグモンドウ10g
コウベイ5g
ハンゲ5g
タイソウ3g
カンゾウ2g
ニンジン2g

 

味・におい

わずかににおいがあり、味は甘い

作用機序

麦門冬湯には主に下記の4つの作用があります。

1.鎮咳作用
2.去痰作用
3.気管支拡張作用
4.抗アレルギー作用

ここからは少し専門的な話になります。

鎮咳作用
モルモットの実験で咳反射を抑制することが報告されています。

去痰作用
肺胞II型上皮細胞で肺サーファクタント分泌を促進。
痰の構成成分を是正(フコース・蛋白増加を抑制)

気管支拡張作用
βアドレナリン受容体を刺激し気管支平滑筋を弛緩。

抗アレルギー作用
IL-6の産生抑制。
好酸球の生存率抑制。

飲み方(用法・用量)

ツムラ麦門冬湯の一般的な用法・用量です。

通常、成人1日9.0gを2~3回に分割し、食前又は食間に経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。

食前とは?
食事の30分前

食間とは?
食事と食事の間(食後2時間が目安)

最初に水を含ませる
最初に水(orぬるま湯)を口の中に含んだ状態で、漢方薬を口の中にいれるとスムーズに飲み込むことができます。

子供・赤ちゃんへの用量

子供や赤ちゃんへの用量は下記の通りです。

年齢用量
7歳〜15歳未満成人の2/3
4歳〜7歳未満成人の1/2
2歳〜4歳未満成人の1/3
2歳未満成人の1/4以下

また一般的に赤ちゃんへの投与量は下記のようにされています。 

1歳   成人の1/4
6ヶ月 成人の1/5
3ヶ月 成人の1/6
新生児 成人の1/8

Von Harnack表より

妊娠・授乳中の服用

製薬メーカーの説明書では「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与」となっています。

妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある 婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

授乳中については添付文書に注意書きがなく「授乳を中止することなく服用してもよい」と指導されるケースが多くあります。

副作用(ニンジンによる過敏症)

麦門冬湯はニンジンが含まれているため、まれに発疹、蕁麻疹等の過敏症が現れることがあります。(頻度は不明)