尿を出して浮腫みをとる利尿薬にラシックス錠(一般名:フロセミド)があります。

「効果が出る時間は?」
「持続時間はどれくらい?」
「ダイエットにも効く?」

このようにラシックスについて薬局で聞かれる質問をまとめました。

作用機序(メカニズム)

「ラシックスはなぜ浮腫みを改善するの?」

ラシックスの利尿作用のメカニズムについて簡単に解説していきます。

まず腎臓はどのような働きをしている臓器なのでしょうか?

腎臓の働きをざっと挙げてみます。

  • 血液をろ過し老廃物や塩分を尿として排泄する
  • 体に必要なものを血液中に再吸収する
  • 体液量を調整する
  • 血圧を調整する
  • 血液をつくる命令を出すホルモンを分泌する

このように腎臓はさまざまな役割があります。

その中でも特に重要な働きである「老廃物や塩分などを尿として排泄し必要なものは血液中に再吸収する点」に着目し開発されたのがラシックスです。

腎臓のヘンレループとよばれる部分ではNa+、Cl、K+が血液中に再吸収されているのですが、ラシックスはヘンレループでNa+、Cl、K+が血液中に再吸収されるのを防ぎます。

Na+(ナトリウムイオン)が動くと水分も一緒に動きますので、血液中に水分が再吸収されるのを抑え、尿として排出するのです。

効能・効果

ラシックスの効能・効果です。

高血圧症(本態性,腎性等),悪性高血圧,心性浮腫(うっ血性心不全),腎性浮腫,肝性浮腫, 月経前緊張症,末梢血管障害による浮腫,尿路結石排出促進

ラシックスは浮腫だけでなく高血圧にも効果があります。

作用機序を読んでいただけたならピンとくるかと思いますが、ラシックスは血液中にナトリウムイオンの取り込みを阻害する作用がありますよね?

つまり血液中のナトリウムイオンが減るため、血圧も下げることができるのです。

ジェネリック医薬品との違い

ラシックス錠には薬価の安いジェネリック医薬品が存在します。

  • フロセミド錠「JG」
  • フロセミド錠「NP」
  • フロセミド錠「テバ」

先発品に比べて添加物に違いはありますが、有効成分や効能・効果は同じです。

飲み方

ラシックスは1日1回40〜80mgを連日もしくは隔日で服用します。
症状に合わせて増減されることがあります。

食事の影響を受けませんので、食事に関係なく服用ができます。

効果の発現時間は?(Tmax)

薬を服用して血中濃度が最大になるまでの時間をTmax(ティーマックス)、その後血中濃度が半分ずつに分解されていく時間をT1/2(ティーハーフ)または半減期といいます。

製薬メーカーの資料によると、健康な成人がラシックス錠10mgを2錠服用した時のTmaxとT1/2は下記の通りです。

用量TmaxT1/2
20mg1.65hr1.43hr

ラシックスを服用して1.65時間後に血中濃度が最大になり、その後1.43時間ごとに血中濃度が半分ずつに分解されていきます。

効果持続時間

「ラシックスは服用してどれくらい効果が続きますか?」

薬局でも時々聞かれますが、持続時間はおよそ6時間となっています。

ダイエットに効果ある?

「ラシックス飲むと痩せると聞いたのですが本当ですか?」
「モデルの仕事で撮影前に飲んでいい?」

といった質問を薬局で受けることがあります。

浮腫を改善するため「ダイエットに効果がある」と勘違いされる方もいらっしゃいますが、脂肪を減らす作用はありませんし、ダイエット目的で服用するのは極めて危険です。

血圧が低下したり、血中のナトリウム、カリウム、カルシウムなどが低下することもありますので、自己判断での服用は絶対に避けてください。

眠気の副作用はでる?車の運転はできる?

ラシックスで眠気の副作用はでることはありません。

しかし、血圧が低下することにより、ふらつきなどの副作用が出ることがあるため自動車の運転など注意しなければいけません。