ニキビの時に処方される抗生物質の塗り薬がダラシンTゲル(成分名:クリンダマイシンリン酸エステル)です。
ダラシンTゲルはジェネリック医薬品も販売されており、クリンダマイシンリン酸エステルゲル1%という名前でサワイ、イワキ、クラシエなどから発売されています。
ローションタイプも発売されております。またダラシンにはステロイドは入っておりません。
ダラシンTゲルについて薬局で患者さんから聞かれる質問を中心にまとめてみました。
効能・効果
ダラシンに効果のある細菌はブドウ球菌、アクネ菌で、化膿を伴うざ瘡(ざそう)に効果があります。
ざ瘡とはいわゆるニキビのことです。
ニキビに使用した場合の効果ですが「4週間塗布した有効率は75.3%」と高い確率でニキビに効果があります。
使い方・塗り方
ダラシンTゲルは1日2回、洗顔後に塗ります。
使うタイミングは朝起きたときの洗顔後、夜入浴後に塗るケースが多いです。
妊婦・授乳中の使用
製薬メーカーの説明書では妊娠中にダラシンTゲルは「使用しないことが望ましい」となっています。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には使用しないことが望ましい。(妊娠中の投与に関する安全性は確立していない)
引用元 ダラシンインタビューフォーム
また授乳中にダラシンTゲルを塗る場合は、念のため「授乳を避けること」となっています。
授乳中の婦人には使用しないことが望ましいが、やむを得ず使用する場合には授乳を避けさせること。(皮膚外用に用いたときの母乳中への移行は不明である)
引用元 ダラシンインタビューフォーム
日本の場合、少しでも母乳中に薬が移行する場合「授乳を避けること」となっていますが、実際は移行する量がごくわずかで、赤ちゃんに影響がでないことが多くあります。
海外の基準ではダラシンの飲み薬について、授乳中の服用は「比較的安全」に位置づけられています。
概ね適合(比較的安全):probably compatible
少数例の研究に限られるが、乳児への有害報告なし。リスクの可能性がある根拠はほとんどない。
そのため授乳を中止することなく使用するように指導されることが多くあります。
ディフェリンゲルとダラシンTゲル(クリンダマイシン)の併用・順番
ニキビに使われるディフェリンゲルと併用されることがあります。
特に医師からの指示がなければディフェリンゲルを先に使うことが推奨されています。
ディフェリンゲルを先に塗る理由ですが、ディフェリンゲルはニキビ全体に使用しますが、ダラシンTゲルは化膿のある部分だけに使用します。
先にダラシンTゲルを塗ると、後から塗るディフェリンゲルによって広げられてしまうため、ダラシンTゲルは後から塗ることが推奨されています。
ベピオゲルとダラシンTゲル(クリンダマイシン)の併用・順番
ニキビに使われるベピオゲルと併用されることがあります。
特に医師からの指示がなければベピオゲルを先に使うことが推奨されています。
ベピオゲルを先に塗る理由は、ディフェリンゲルと同様です。
ベピオゲルはニキビ全体に塗りますが、ダラシンTゲルは化膿部分のみスポットで使用します。
先にダラシンTゲルを塗ると、後から塗るベピオゲルによって広げられてしまうため、ダラシンTゲルは後から塗ることが推奨されています。
口唇ヘルペスに効果ある?
「口唇ヘルペスになった時、家にあるダラシンTゲル(クリンダマイシン)は効く? 」
と患者さんから聞かれることがあります。
口唇ヘルペスの原因はヘルペスウイルスなのですが、ダラシンTゲル(クリンダマイシン)にはウイルスを殺す力はありません。
口唇ヘルペスの際はアラセナ軟膏やゾビラックス軟膏など抗ウイルス薬が処方されます。
市販薬はある?
ダラシンTゲルの有効成分であるクリンダマイシンが入った市販薬は販売されていません。
ダラシンTゲルについて薬局で相談を受ける内容をまとめました。
少しでも疑問の解決に繋がれば幸いです。
ダラシンTゲルのことで疑問がありましたら下記の質問ボックスよりコメントくださいませ。