切迫流産や切迫早産に処方されるのがダクチル錠(一般名:ピペリドレート塩酸塩)です。

ジェネリック医薬品としてはダクチラン錠という名前で存在します。

ダクチル錠、ダクチラン錠について作用機序や特徴をまとめました。

作用機序(メカニズム)

ダクチル・ダクチランは子宮の平滑筋の異常な収縮を抑えることにより、下腹部の張った感じや痛みなどを抑えます。

ダクチル・ダクチランは子宮の体部には強力に作用しますが、頚管には作用が弱いといった特徴があることから切迫流産や切迫早産に適した薬となっています。

ウテメリンとダクチルの違い・妊娠初期への使用は?

切迫流産や切迫早産で処方される薬にウテメリン錠(一般名:リトドリン塩酸塩錠)があります。

ウテメリンは交感神経β2刺激薬とよばれ、子宮の平滑筋の交感神経β2受容体を刺激することで子宮平滑筋を弛緩させ、子宮の異常な収縮や痙攣を抑えます。

ダクチル・ダクチランは抗コリン作用副交感神経遮断)によって子宮平滑筋を弛緩させます。

どちらも子宮平滑筋を弛緩させる点は同じですが、作用機序(メカニズム)に違いがあるのです。

またウテメリンは16週未満の妊婦さんへの安全性が確立されていないため、妊娠初期にはダクチル・ダクチランが処方される傾向にあります。

ウテメリン(リドトリン)はドキドキする「動悸」の副作用が報告されていますが、ダクチル・ダクチランでは「動悸」の副作用は起こりません。

ダクチル・ダクチランの副作用

抗コリン薬であるダクチル・ダクチランでは「口渇き」「便秘」「瞳孔が拡大して物が見えにくくなる」といった副作用が主となります。

瞳孔が拡大して見えにくくなるため、車の運転には注意する必要があります。