子宮が異常に収縮することでおこる切迫流産や切迫早産に処方される薬がウテメリン(成分名:リドトリン)です。

ウテメリン

出典 キッセイ薬品



ウテメリンについて薬局で患者さんから聞かれる質問を中心にまとめてみました。

流産と早産の違い・週数

流産は大きく早期流産後期流産に分かれます。

早期流産は妊娠12週未満の流産を、後期流産は妊娠12週~22週未満の流産のことをいいます。

3回以上自然流産が繰り返してしまうことを習慣流産といわれます。

妊娠22週~37週未満の分娩のことを早産と定義づけられています。

なお、正期産は妊娠37週0日〜妊娠41週6日までとなっています。

ウテメリンのジェネリック医薬品

ウテメリンは薬価の安いジェネリック医薬品が発売されています。

リトドリン塩酸塩錠+メーカー名の名前で日医工オーハラ薬品から販売されています。またルテオニン錠という名前で「あすか製薬」から販売されています。

これらのジェネリック医薬品は添加物は先発品と異なりますが、有効成分は全く同じとなっています。

作用機序・持続時間

ウテメリンがなぜ切迫性流産や早産に効果があるのでしょうか。

作用機序メカニズム)について説明したいと思います。

子宮には平滑筋という筋肉があるのですが、交感神経(β2受容体)が刺激されることで子宮平滑筋が弛緩します。

ウテメリンはβ2受容体を刺激する作用があり、子宮の収縮をおさえるのです。

薬が最大の濃度に達するまでの時間をtmax(ティーマックス)というのですが、ウテメリンのtmaxは約1時間となっています。

薬の濃度が半分に分解される時間を半減期またはt1/2(ティーハーフ)というのですが、ウテメリンの半減期は1.36時間となっています。

つまりウテメリンを服用すると1時間で最大血中濃度に達し、1.3時間間隔で薬が半分に分解されていきます。

12時間後にはほぼ消失するため、通常は1日3回で服用するケースが多いです。

動悸・震えの副作用がでることあり

ウテメリンの一番の副作用はドキドキするといった動悸です。

ウテメリンは交感神経を刺激する作用がありますので、動悸や手の震えはどうしても出やすくなってしまいます。

特に1日30mgを超えると副作用が出やすくなると言われています。

動悸や手の震えがひどい場合は量が調整されますので、我慢できない場合は主治医に相談しましょう。

副作用集計の対象となった2,122 例中83例(3.9%)100件の副作用が認められた。主なものは心悸亢進(動悸)60件(2.8%)手指振戦14件(0.7%)嘔気8件(0.4%)であった。

引用元 ウテメリン インタビューフォーム

ズファジラン・ダクチル・ダクチランとの違い

子宮平滑筋の収縮抑制薬作用があり、切迫流産、切迫早産に処方されるのがズファジラン錠ダクチル錠・ダクチラン錠です。

薬品名作用機序
ウテメリンβ2刺激作用
→子宮平滑筋弛緩
ズファジランβ刺激作用
→子宮平滑筋弛緩
ダクチル・ダクチラン抗コリン作用
→子宮平滑筋収縮抑制

ズファジランは妊娠12週未満、ウテメリンは妊娠16週未満には「安全性が確立されていない」とされいることから、
妊娠初期にはダクチル錠(ダクチラン錠)が処方されるケースがあります。

動悸の副作用はズファジランに比べ、ウテメリンの方が高い頻度で報告されています。

ダクチル錠(ダクチラン錠)は抗コリン薬のため「動悸」の副作用はありませんが、「口渇」や「便秘」といった抗コリン薬特有の副作用が現れるケースがあります。